お知らせ一覧
図書紹介コラムでは、株式会社千總所蔵(以下、千總)の図書資料を各回のテーマに分けてご紹介しています。今回は有職故実に関連する書籍のうち、武器・武具・甲冑類を図解した書籍や目利(めきき、鑑定)のガイドとして出版された書籍についてご紹介します。 端午の節句に五月飾をしつらえられた方も多いと思いますが、兜飾や鎧飾といった節句飾には、男の子が健やかに成長したくましく育つようにという願いが込められています。では、日本人が武具に対して持っているそのようなイメージはどこから来たのでしょうか。平安時代末から江戸時代に至るまでは、弱肉強食の戦乱の時代が続きました。そんな中武士の命を預かったのは身を守る…
明治期の千總は、刺繍絵画や友禅製品において数々の受賞を重ねましたが、その華々しい功績には多くの画家の協力が不可欠でした。画家との繋がりは、現在株式会社千總(以下、千總)に所蔵される絵画や友禅裂などの美術工芸品だけでなく、文書でも確認することができます。本コラムでは、シリーズで明治・大正時代の決算報告書類に登場する画家を紹介し、試みに当時の千總または京都の美術工芸業界のネットワークを改めて整理することを目指します(決算報告書類についての説明はこちらをご覧ください。)。 第6回は、今尾景年(いまおけいねん)です。京都を代表する日本画家の1人であり、花鳥画の名手としても知られています。千總…
本日より「西村總左衛門家の活動」のページに、12代西村總左衛門の略年譜を追加しました。略年譜には、株式会社千總の所蔵品や文献資料の調査を通じて明らかとなった、12代西村總左衛門の生涯の活動が掲載されています。各活動や出来事を、①12代西村總左衛門個人および家族に関する事項、②千總の会社全体および社員の活動、各種博覧会などにおける受賞、さらに③現存する所蔵品の出陳や購入に関する事項に分類しました。現在も12代西村總左衛門の活動については調査中のために、今後も随時更新です。本略年譜が、12代西村總左衛門の活動の背景の解明だけでなく、近代の美術工芸に関する研究促進の一助となりましたら幸いです。&nb…
千總文化研究所では、千總の前身となる千切屋が東本願寺の法衣装束を商っていたことから、2018年より真宗大谷派にまつわる染織資料の調査を進めています。2022年度は富山県南砺市の真宗大谷派井波別院瑞泉寺に所蔵される染織資料326点の調査を行いました。3月3日に開催した調査報告会では、本調査で確認された資料の概要や、そこから明らかになる井波別院瑞泉寺所蔵法衣装束・荘厳具(打敷や水引などの堂内装飾具)の特質についてご報告いたしました。報告会の記録動画は、会員ページよりご視聴いただけます。 [開催概要]日時:2023年3月3日(金)午後2時~4時20分開催形式:会場参加(株式会社千總本社5階…
大阪教育大学附属天王寺中学校様からご依頼いただき、着物を題材とした教科横断型授業の取り組みに参画しました。授業は、2年生の美術科、理科、国語科、家庭科の時間で全10回にわたり、着物のデザインと色、着物の着こなし等を、観察、実演、実習を交えて行われました。千總文化研究所は、美術科と理科の時間に千總のデザイナーと職人を講師として召喚し、実習のための着物、染色見本、染色材料と道具等を提供しました。1)美術科① 着物を「見つめる」、デザイナーの仕事を知る2)理科①色づくりについて職人から学ぶ3)理科②見本の色を再現する4)国語科①言葉の意味の違いに気付く5)国語科②名も無き色に名前を付ける6)美術科②…
日増しに暖かくなり、思わず旅に出かけたくなる季節が近づいてきました。長く続いた外出制限も緩和されたことで、ゴールデンウィークの旅行計画を立てていらっしゃる方も多いかと思います。旅行先の情報を集めるとき、私たちは何をよすがとするでしょうか?現代の私たちはスマートフォンを片手にすることが多くなりましたが、紙のガイドブックを携えるという方もいらっしゃるでしょう。このようなガイドブックは江戸時代にはすでに存在していました。今回ご紹介する「名所図会」は、江戸時代後期を中心に出版された日本各地の観光ガイドブックともいうべき版本です。このような版本が出版された背景には、江戸時代を通じて行われた街道の整備と、…
明治期の千總は、刺繍絵画や友禅製品において数々の受賞を重ねましたが、その華々しい功績には多くの画家の協力が不可欠でした。画家との繋がりは、現在株式会社千總(以下、千總)に所蔵される絵画や友禅裂などの美術工芸品だけでなく、文書でも確認することができます。本コラムでは、シリーズで明治・大正時代の決算報告書類に登場する画家を紹介し、試みに当時の千總または京都の美術工芸業界のネットワークを改めて整理することを目指します(決算報告書類についての説明はこちらをご覧ください。)。 第5回は、岸連山の息子で、岸派の日本画家の岸九岳(きしきゅうがく)です。九岳と千總とのビジネス…
同志社大学内にあるKCJF(京都アメリカ大学コンソーシアム、運営:コロンビア大学)の授業の一環として、千總の歴史と染織技術について講義しました。「世界に通じる京の職人」がテーマの本授業には、日本語並びに日本文化等を専攻するアメリカからの留学生13名が参加されています。 講義の前半は、千總が460余年の歴史の中でどのようにものづくりを続けてきたのか、その歴史と地域社会や産業界との繋がりを交えて作品写真と共にご紹介しました。 現代では、着物やスカーフなどの染織品を手掛ける千總ですが、創業した室町時代に僧侶の装束である法衣や寺院を荘厳する打敷などを納める法衣商であり、時代に応じて…
千總文化研究所では、2021年度より染織技術やきもの文化を題材とした教育プログラムの開発に取り組んでいます。 きものを構成する多様な技術や技法と、その背景にある日本の文化は、農学、化学、人文学をはじめとするさまざまな学問分野を内包するだけでなく、職人の創造力と探求心が凝縮されています。一方、昨今の学校教育では、STEAM教育をはじめ学際的な学びがクリエイティブな人材を育成するものとして注目されています。 そうした社会的背景のもと、「きもの」から広がる学問領域の結びつきと、文化や社会の成り立ちを次世代を担う子どもたちに伝えることが、創造力豊かな人材育成の寄与につながるのではないかと考えています。…
千總の商売と文化を育んだ、京都の三条室町。当研究所では地域と千總の関係性への理解を深めるために、土地や建物、行事など町に関係する資料を調査しています。これまでの調査で、江戸時代に現在の千總ビルのほぼ同じ敷地にたっていた、京町家の建築資料が確認されました。そして、そのなかの江戸時代の図面と建築仕様書について取り上げる講演会「千總・西村家の町家図面を読み解く-近世京町家の造りと暮らし-」が、2月16日に開催されます。本コラムでは、講演会で取り上げる資料について少しご紹介したいと思います。 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、現在の千總本店は1989年に完成した鉄筋コンクリー…