お知らせ一覧

図書紹介4:江戸時代の画譜 *会員限定*

株式会社千總(以下、千總)所蔵の版本には、今尾景年『景年花鳥画譜』をはじめとした多数の画譜、すなわち絵手本が含まれています(『景年花鳥画譜』についてはこちら)。図書紹介の第4回目は、それらの画譜のうち江戸時代に出版されたものを取り上げてご紹介します。  画譜の出版(Fig.1) 上田公長『公長画譜』4冊、1834(天保5)・1850(嘉永3)年 国内における画譜の出版は、江戸時代、中国からの画譜の輸入をきっかけとして始まりました。その出版の理由について、例えば1834(天保5)年刊『公長画譜』にはこう書かれています。 古人云ルアリ、画ハ声ナキノ詩也、詩ハ…

「きもの科学部〜きものを科学的に探求しよう!〜」実施報告2

千總文化研究所は今年の10月から12月にかけて、「きもの科学部〜きものを科学的に探求しよう〜」と題して中学生向けの文化プログラムを実施しました。 文学、農学、工学、染色デザイン等の専門家が倶楽部の指導者となり、着物に描かれた植物や和歌、着物のデザインや色のほか、染色技術を中学校の各教科と結びつけながら、きものを様々な視点から深く体系的に学ぶプログラムです。座学だけでなく、教育工学の専門家によるワークショップを交え、分野横断型の学びを通じた子どもの想像性・創造性の育成を目指します。「きもの科学部」のプログラム趣旨・概要についてはこちら 今回は、11月と12月に開催された第3回~第5回の…

「きもの科学部〜きものを科学的に探求しよう!〜」実施報告1

千總文化研究所は今年の10月から12月にかけて、「きもの科学部〜きものを科学的に探求しよう〜」と題して中学生向けの文化プログラムを実施しました。 文学、農学、工学、染色デザイン等の専門家が倶楽部の指導者となり、着物に描かれた植物や和歌、着物のデザインや色のほか、染色技術を中学校の各教科と結びつけながら、きものを様々な視点から深く体系的に学ぶプログラムです。座学だけでなく、教育工学の専門家によるワークショップを交え、分野横断型の学びを通じた子どもの想像性・創造性の育成を目指します。「きもの科学部」のプログラム趣旨・概要についてはこちら 今回は、10月と11月に開催された第1回と第2回の…

千總と近代画家4:榊原文翠 *会員限定*

明治期の千總は、刺繍絵画や友禅製品において数々の受賞を重ねましたが、その華々しい功績には多くの画家の協力が不可欠でした。画家との繋がりは、現在株式会社千總(以下、千總)に所蔵される絵画や友禅裂などの美術工芸品だけでなく、文書でも確認することができます。本コラムでは、シリーズで明治・大正時代の決算報告書類に登場する画家を紹介し、試みに当時の千總または京都の美術工芸業界のネットワークを改めて整理することを目指します(決算報告書類についての説明はこちらをご覧ください。)。第4回は、画家だけでなく国学者としても活動した、榊原文翠です。千總には、文翠が下絵を手掛けたとされる友禅裂が多く現存していますが、…

【掲載】千總文化研究所の活動が紹介されました

千總文化研究所が今年の10月より開催しております中学生向け文化プログラム「きもの科学部〜きものを科学的に探求しよう〜」が京都新聞(2022年12月7日付)にて紹介されました。プログラムの内容は、活動紹介にてご覧いただけます。ご関心をお寄せいただけましたら幸いです。

産学連携事業:後期の絵刷調査の実施

当研究所では2021年度から株式会社千總(以下、千總)に寄贈された絵刷(えずり)調査を、京都芸術大学歴史遺産学科との産学連携事業のもとに実施しています(事業の詳細はこちらをご覧ください)。本年度の後期調査は、10月6日か11月17日の毎週木曜日に実施されました。調査は正課授業の一環として行われ、同学科の増渕准教授率いる文化財科学ゼミに所属する3回生5名および4回生1名の他、2回生6名および修士課程学生1名の合計12名が参加しました。 後期調査では、前期と同様の絵刷の撮影に加えて、調書の作成が行われました。本事業はデジタルアーカイブ化を最終的な目的としているために、この調査を通して得ら…

図書紹介3:ちりめん本 *会員限定*

図書紹介の第3回目は、株式会社千總(以下、千總)に遺るちりめん本をご紹介します。 ちりめん本とはちりめん本と聞いて皆様はどんな本を思い浮かべるでしょうか。着物に親しまれている方なら、すぐさまあの凹凸が特徴的な生地の縮緬を想像されるかもしれませんが、それも間違いではありません。ちりめん本とは、浮世絵と同じ技法で印刷された紙に縮緬のような凹凸が出るように加工を施し、製本したものを指します。  ちりめん本の紙(crape paper, Fig.1)をご覧いただくと、細かな凹凸の筋が縦・横・斜め方向に走っているのがお分かりいただけると思います。挿絵は一般的な木版多色刷の浮…

千總と近代画家3:川辺御楯、森春岳*会員限定*

明治期の千總は、刺繍絵画や友禅製品において数々の受賞を重ねましたが、その華々しい功績には多くの画家の協力が不可欠でした。画家との繋がりは、現在株式会社千總(以下、千總)に所蔵される絵画や友禅裂などの美術工芸品だけでなく、様々な文書資料でも確認することができます。本コラムでは、シリーズで明治・大正時代の決算報告書類に登場する画家を紹介し、試みに当時の千總または京都の美術工芸業界のネットワークに対する理解を改めて深めることを目指します(決算報告書類についての説明はこちらをご覧ください)。第3回は、近代大和絵の画家である川辺御楯と、岸派の画家の森春岳です。千總に現存する資料から、御楯は友禅下絵の提供…

中学生のための文化教育プログラムを実施致します

きもの科学部〜「きもの」を科学的に探究しよう〜 令和4年度文化庁「地域活動推進事業及び地域文化倶楽部(仮称)創設支援事業」のもと、千總の有形・無形の文化財を活用した文化教育プログラムを京都市内の中学生のための倶楽部として実施致します。京都には、染織、陶芸、漆芸をはじめ沢山の伝統技術があり、洗練された美しい工芸品が作られてきました。そこには京都が長い歴史の中で育んできた豊かな文化的背景と、先人たちが経験と感性によって磨き上げてきたクリエイティビティと英知が詰まっています。「きもの科学部」では、日本文学、農学、工学、染色デザイン等の専門家が倶楽部の指導者となり、着物に描かれた植物や和歌、…