教育普及

大阪教育大学附属天王寺中学校✖️千總文化研究所  ~着物を題材とした教科横断型授業~

大阪教育大学附属天王寺中学校様からご依頼いただき、着物を題材とした教科横断型授業の取り組みに参画しました。授業は、2年生の美術科、理科、国語科、家庭科の時間で全10回にわたり、着物のデザインと色、着物の着こなし等を、観察、実演、実習を交えて行われました。千總文化研究所は、美術科と理科の時間に千總のデザイナーと職人を講師として召喚し、実習のための着物、染色見本、染色材料と道具等を提供しました。1)美術科① 着物を「見つめる」、デザイナーの仕事を知る2)理科①色づくりについて職人から学ぶ3)理科②見本の色を再現する4)国語科①言葉の意味の違いに気付く5)国語科②名も無き色に名前を付ける6)美術科②…

KCJS(京都アメリカ大学コンソーシアム)プログラム「世界に通じる京の職人」

同志社大学内にあるKCJF(京都アメリカ大学コンソーシアム、運営:コロンビア大学)の授業の一環として、千總の歴史と染織技術について講義しました。「世界に通じる京の職人」がテーマの本授業には、日本語並びに日本文化等を専攻するアメリカからの留学生13名が参加されています。 講義の前半は、千總が460余年の歴史の中でどのようにものづくりを続けてきたのか、その歴史と地域社会や産業界との繋がりを交えて作品写真と共にご紹介しました。 現代では、着物やスカーフなどの染織品を手掛ける千總ですが、創業した室町時代に僧侶の装束である法衣や寺院を荘厳する打敷などを納める法衣商であり、時代に応じて…

「きもの科学部〜きものを科学的に探求しよう!〜」実施報告2

千總文化研究所は今年の10月から12月にかけて、「きもの科学部〜きものを科学的に探求しよう〜」と題して中学生向けの文化プログラムを実施しました。 文学、農学、工学、染色デザイン等の専門家が倶楽部の指導者となり、着物に描かれた植物や和歌、着物のデザインや色のほか、染色技術を中学校の各教科と結びつけながら、きものを様々な視点から深く体系的に学ぶプログラムです。座学だけでなく、教育工学の専門家によるワークショップを交え、分野横断型の学びを通じた子どもの想像性・創造性の育成を目指します。「きもの科学部」のプログラム趣旨・概要についてはこちら 今回は、11月と12月に開催された第3回~第5回の…

「きもの科学部〜きものを科学的に探求しよう!〜」実施報告1

千總文化研究所は今年の10月から12月にかけて、「きもの科学部〜きものを科学的に探求しよう〜」と題して中学生向けの文化プログラムを実施しました。 文学、農学、工学、染色デザイン等の専門家が倶楽部の指導者となり、着物に描かれた植物や和歌、着物のデザインや色のほか、染色技術を中学校の各教科と結びつけながら、きものを様々な視点から深く体系的に学ぶプログラムです。座学だけでなく、教育工学の専門家によるワークショップを交え、分野横断型の学びを通じた子どもの想像性・創造性の育成を目指します。「きもの科学部」のプログラム趣旨・概要についてはこちら 今回は、10月と11月に開催された第1回と第2回の…

産学連携事業:後期の絵刷調査の実施

当研究所では2021年度から株式会社千總(以下、千總)に寄贈された絵刷(えずり)調査を、京都芸術大学歴史遺産学科との産学連携事業のもとに実施しています(事業の詳細はこちらをご覧ください)。本年度の後期調査は、10月6日か11月17日の毎週木曜日に実施されました。調査は正課授業の一環として行われ、同学科の増渕准教授率いる文化財科学ゼミに所属する3回生5名および4回生1名の他、2回生6名および修士課程学生1名の合計12名が参加しました。 後期調査では、前期と同様の絵刷の撮影に加えて、調書の作成が行われました。本事業はデジタルアーカイブ化を最終的な目的としているために、この調査を通して得ら…

中学生向け文化プログラム「きもの科学部」を開催いたします

 千總文化研究所では、昨年度より染織技術を題材とした教育プログラムの開発に取り組んでいます。  着物に用いられる伝統的染織技術には、デザイン構想から完成まで数十もの工程があり、その多くが手仕事による分業で行われています。多様な技術とその背景にある日本の文化は、農学、化学、人文学をはじめとするさまざまな学問分野を内包するだけでなく、より美しいもの、品質の高いものをつくりだすために研ぎ澄まされた職人の創造力と探求心が凝縮されています。  一方、昨今の学校教育の現場では、STEAM教育をはじめ学際的な学びがクリエイティブな人材を育成するものとして注目されています。そうした社会的背…

産学連携事業:前期の絵刷調査の実施

当研究所では2021年度から株式会社千總(以下、千總)に寄贈された絵刷(えずり)の調査を、京都芸術大学歴史遺産学科との産学連携事業のもとに実施しています(事業の詳細はこちらをご覧ください)。絵刷とは、型紙を用いて文様が紙に摺り出されたもので、型友禅をつくる工程において、職人による型紙の彫り具合(彫口)の確認や、型紙管理者の見本などの用途でもちいられるものです。本調査では、絵刷の撮影と調書作成を行い、最終的にはデジタルアーカイブ化を目指します。本年度の前期調査は、6月23日から7月21日の毎週木曜日に実施されました。調査は正課授業の一環として行われ、同学科の増渕准教授率いる文化財科学ゼミに所属す…

同志社大学美学及芸術学科の課外授業

同志社大学美学及芸術学科の課外授業「美学芸術学実地演習II」として、講演を行いました。同学科の2回生20名が参加されました。「千總のものづくり −パトロネージュとイノベーションの歴史−」という演題をいただき、千總が460余年の歴史の中で、どのようにものづくりを続けてきたのか、歴史的背景と地域社会、学問分野や産業界との繋がりを交えて作品写真と共にご紹介しました。また会場には、明治時代と昭和時代に千總が手がけた染織品を展示しました。  千總は、室町時代に僧侶の装束である法衣や寺院を荘厳する打敷などを納める法衣商として、京都で商いをはじめました。詳細は調査段階ではありますが、六条…

3つの染色技法の比較ワークショップ

函館工業高等専門学校の下郡啓夫教授と共同開発を行なっている教育プログラムでは、伝統的染織技術の背景にある、人の創造性・探究性に焦点を当てた2つのワークショップを設計しました。 1月24日は、手描き友禅・手捺染・インクジェットプリントの3つの技法の比較検証です。 千總製の〈束ね熨斗模様小袱紗〉を元に、手描き友禅、手捺染、インクジェットプリントとの3つの染色技術で、同じデザインを再現した染織品を製作しました。 手描き友禅は、細い筒金の先から絞り出した糊で模様の輪郭線を防染し、輪郭の中の色を筆や刷毛を用いて染色します。 手捺染は、色ごとに型(シルクスクリーン)…

職人技を体験「色づくりワークショップ」

函館工業高等専門学校の下郡啓夫教授と共同開発を行なっている教育プログラムでは、伝統的染織技術の背景にある、人の創造性・探究性に焦点を当てた2つのワークショップを設計しました。1月17日は、そのうちの1つ〈色づくりワークショップ〉を実施しました。伝統的染織技術の一つである手描き友禅の着物制作において、「配色」と呼ばれる工程があります。着物のデザインに用いる色を決める作業で、製作担当者が色見本を貼った「配色伝票」を指示書として職人に渡します。職人はそれらの色を1色ずつ染料を混ぜ合わせて一から作成します。着物によっては、使用する色数は100色を超えます。そこには、色を見極める観察力と多くの経験が必要…