「西村總左衛門家の活動」ページの新設のお知らせ

本日より「西村總左衛門家の活動」のページが新設されました。

こちらのページでは、長らく京都で衣の商売を担ってきた、西村總左衛門家すなわち千總の歴代当主の活動に関する調査の報告を皆様にお届けして参ります。

 

初回となる今回は、明治時代から昭和時代まで千總の当主を務めた、12代当主・西村總左衛門(三國直篤、1855~1935)をご紹介するページを追加しました。

 

  12代西村總左衛門(明治時代)

 

12代西村が当主を務めた幕末・明治期以降の京都において、友禅や各種織物などの染織品を取り扱う業界は変革期を迎えました。

千總も例外ではなく、12代西村のもと、明治期に事業の主軸を法衣から友禅・刺繍製品へシフトしたと考えられています。当時の千總は、西欧の染織技術や表現技法などを学ぶ中で、刺繍絵画、写友禅製品、天鵞絨(ビロード)友禅などの多様な染織製品生み出し、国内外で高く評価されました。一方で、明治政府主導で制作された『温知図録』への図案の提供、友禅下絵制作への画家の起用、また京都府画学校や京都美術協会、友禅史会などの業界団体の運営への協力など、いち企業活動の枠を越えて、多方面から京都の美術工芸業界の近代化に貢献しました。

そうした評価や活動は、千總を取り巻く社会環境や支えとなった人間関係により実現したことは言うまでもありません。しかし、その全貌は充分に解明されていません。

そこで、千總文化研究所では、2021年度より、明治から昭和初期に千總当主を務めた、12代西村總左衛門の活動に関して調査を開始しました。

本調査では、文献調査を通じて、12代西村を取り巻く社会環境や人間関係を明らかにすることを目指しています。さらに、こうした調査は、近代の千總だけでなく、近代の京都における美術工芸分野の発展過程の一例を示すことができると考えています。

 本ページでは、その成果報告の1つとして、12代西村總左衛門の活動に関する出来事を年表形式でご紹介します。また、それに伴い現在調査を行っている関連作品・資料の一部を掲載いたします。

 

 西村貿易店(千總の貿易部門)前に整列する千總社員等(大正時代)

 

2022年度以降も、12代西村の活動に対する調査は、引き続き継続して実施して参ります。

最終的には本ページによって、京都のまち・商人への理解を深めることができましたら幸いです。

 

(文責 小田桃子)