技術紹介:型友禅の型彫刻

友禅染めには大きく分けると手描き友禅と型友禅があります。型友禅は模様を彫り出した型紙を生地にあてて、型紙の上から刷毛で染料を擦り込んだり、染料を混ぜた写糊をヘラで塗布することで模様の染色をします。

染め上がった時の模様の形や色彩表現を大きく左右するのが型紙の彫刻です。

 

手描き友禅と同様に、まずは図案の製作から始まります。

 

一つの模様に使用される型紙の枚数は、主に模様の複雑さ、色数によって決まります。この「孔雀百花模様」では64枚の型紙が用いられました。

着色図案をもとに、企画担当者、型彫刻の職人と染色工房がどのような型を彫刻し、模様を表現するかを検討します。

例えば、牡丹のやわらかな花弁を表現するために、濃い色から淡い色へ美しいぼかしが必要です。

 

 

 

2枚以上の型紙を彫り分け、まず濃い色の部分を刷毛で染料を刷り込み、その上から薄い色を重ねます。

 

 

型紙を彫刻するする小刀は、模様の形に掘り抜く「一刀彫」、樹木の皮や葉の虫食いなどギザギザとした形を表すために型紙を突き通して刃の中心で彫る「突彫」、太さの強弱のある線を彫る「くるい」、表現に合わせて異なる形の刃を使い分けます。

 


一刀彫


突彫刀

 

歴史的には量産のために発展した技法ではありますが、精緻な型を重ねることで生み出される模様と色彩表現は、手描き友禅にはない型染ならではの魅力です。