「きもの科学部」第1回、第2回活動報告
2024年「きもの科学部」第1回、第2回を10月に開催しました。
まずは第1回、テーマは「色の素って、なに?」です。
中学1年生から高校3年生まで9名が集まり、「色」について多角的に学びました。
講師は、一関工業高等専門学校から小林淳哉教授をお招きしました。
前半の講義では、
・なぜ色が見えるのだろう?~リンゴは赤い、海は青い~
・色って何からできているんだろう?~「染める」と「塗る」~
・色がもつメッセージ~色の表現、生活の中の色~
上記の内容で、身の回りにある自然界の色、人工的な色、がどのように成り立っているのか、を考えました。
後半のワークショップでは、ペーパークロマトグラフィの実験を行いました。
天然染料、合成染料、万年筆のインクやサインペン、墨汁など9種類の色材を用いて、色に含まれる色素を観察しました。
その観察結果を用いて、色の展開をデザインしたちょっとしたアート作品を制作しました。
参加者からは、「自分が見ている色がすべてではないと分かり、楽しかった」「色についての見え方が変わった」「科学的な側面での色の性質を知ることができてとても楽しかった」「植物も色を利用して生き延びていることを知ることができた」「自然の染料で染まっている色、布が好きなので、この文化を次代にに繋げることができれば、と思う」といった振り返りのコメントが寄せられました。
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続く第2回のテーマは「職人技って、どんな技?」です。
講師は、千總着物を手掛ける手描き友禅職人の蒲池正太さんをお招きしました。
一体どのような点が「職人の技」なのか、実演と実践から参加者に体感してもらいました。
前半は、蒲池さんが手がけた着物から、配色における視覚的な効果や色の表現力などについて解説されました。その後、手描き友禅の工程のうち「色挿し」と呼ばれる彩色の作業を蒲池さんに実演いただきました。参加者の皆さんは、蒲池さんの手の動きを息を潜めて観察されていました。
蒲池さんからは、色使いによって遠近感や自然らしさを表現すること、一方で自然のありのまま姿を写すのではなく、着物の模様として美しいことも大切であることなどを解説がありました。
後半のワークショップでは、職人と同じ道具と材料を使って手描き友禅染にチャレンジしてもらいました。染料で模様に色をつけるだけでなく、模様にテーマを設定し、配色を決めて、イメージを色で表現することを目指しました。
参加者からは、「イメージ通りの色が作れなかった。イメージを現物化することが職人技だと思った」「職人技とは、一つのことを色々な方向から考えて表現することだと思った」「とても奥深い世界だと感じた。指定されたもの以上の作品を作る、新しい世界を魅せるということが職人技だと思った」といった振り返りのコメントが寄せられました。
第1回と第2会の参加者の作品は、2025年秋に「千總ギャラリー2」にて発表予定です。お楽しみに。