図書紹介11:文様集(2) *会員限定*
本コラムシリーズでは、株式会社千總に遺る版本や図書類をテーマごとにピックアップしてご紹介しています。今回は前回に引き続き、紋や文様にまつわる書籍を取り上げます。
伊達紋の愉しさ
Fig.1~3『百撰ひな形』出版年不詳
『百撰ひな形』に掲載された着物の文様は、大柄で背の上部に大きなモチーフが配置されているのが特徴です。ここは本来であれば家紋を入れる紋所ですが、それよりもはるかに大きく華やかな文様が表されていることがお分かりいただけると思います。
このような装飾を目的とした紋は伊達紋とよばれ、役者や市井の遊び人が好んで用いたものと考えられます*。それは家紋の役割である、家系や所属を示すという機能からは離れ、歌や季節の風景をイメージ化し華やかさを添える役割を担っています。伊達模様は1688(貞享5年)出版の雛形本『友禅ひいながた』にもみられ、伊達紋専門の雛形本も複数出版されるなど、かなりの流行をみたようです。
本書は出版年が分かっていませんが、近代の復古主義に伴い制作された雛形本であることが推測されます。
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