染織品紹介7:腰巻の意匠 *会員限定*

本コラムシリーズは、株式会社千總ホールディングス(以下、千總)に所蔵される染織品をとおして日本の様々な染織文化をお届けしています。

前回の帷子に引き続き、夏の衣裳として、今回は腰巻(こしまき)についてご紹介します。

 

腰巻とは、室町時代から江戸時代における武家女性の夏の礼装で、前回コラムでご紹介した帷子の上に着用されました。元々は小袖と同じ形で生地や模様も大差ありませんでしたが、年代が降るごとに専用の形式に変化していきました。

着用の仕方も、初期は打掛のように間着の上に着け、両肩を脱いで腰に巻き付ける形で着用されていました。〈お市の方(浅井長政夫人)像〉(重要文化財、持明院蔵)などに描かれた着用の仕方です。

後には、堤帯(さげおび)*1の両端に芯を入れて固い筒状にした部分を左右に突っ張らせ、そこに腰巻の袖を通し、腰巻の打紐を前に結んで着られる着方に変化しました。腰巻の袖が腰の左右に羽のように広がる、独特の着姿です。駕籠に乗る際は堤帯の両端を輪にした打紐で留め、突っ張りの幅を狭めることで狭い空間に対応しました。

 

千總には、残念ながら小袖の形をした完品はありませんが、裁断された腰巻の裂(きれ)がいくつか収蔵されています。

腰巻の意匠は、江戸時代後期までには、紅染めの上から檳榔子(びんろうじ)の黒を重ねた黒紅の練緯*2地に、金銀や色糸で宝尽くし模様などの刺繍を施したものに定まっていきました。千總に遺る裂も、そのような特徴を有したものがほとんどです。

 

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