染織品紹介6:帷子の意匠 *会員限定*
当コラムシリーズでは、株式会社千總ホールディングスに所蔵される染織品から日本の染織文化をご紹介しています。
年々暑さを増す、日本の夏。江戸時代も、小氷期と呼ばれる比較的寒冷な気候であったとはいえ、時には現代のような猛暑にみまわれることがあったといいます*1。
現在我々が使う便利な冷房設備を持たない江戸時代の人々は、夏にどんな衣服を着て過ごしていたのでしょうか。
夏に着るものといえば、浴衣を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。「浴」びるに「衣」と書いて「ゆかた」と読みますが、これは「湯帷子(ゆかたびら)」という言葉が元になっています。
帷子とは麻でできた夏用の単衣(裏地のないきもの)のことで、湯あみの際に着用されたものが湯帷子とよばれ、現代の浴衣のルーツになりました。有名なものでは徳川家康所用の〈薄水色麻地蟹文浴衣〉(江戸時代〔17世紀〕、徳川美術館所蔵)などが伝存しています。
浴衣を含む帷子には、染めを主体とした涼やかな意匠で飾られたものが多くみられます。上布でできた帷子は布地の向こう側が透けて見えるほど薄く、見た目にも清涼感を与えます。
上布は、原料となる苧麻から手作業で糸を作り出す技術に長年の熟練が必要とされ、非常に希少で高価なものでした。今回は、上布に細やかな染め文様を表した、目にも涼やかな帷子の意匠をご紹介します。
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