11月16日(土)「五感から知る言葉にならない日本の美」第1回 開催のご報告
千總文化研究所は、次世代育成支援を目的として、日本の文化芸術を大人が学ぶ体験型プログラムを、2024年11月からスタートしました。第一線で活躍する表現者・技術者をお招きし、五感をテーマとしたご講演と感性や感覚に立ち返って文化芸術を深く知る体験をご提供するプログラムです。本プログラムの収益は、当研究所が企画・開発を進める次世代育成プログラムの運営に充てられます。
第1回は、香老舗の株式会社松栄堂 代表取締役社長の畑正高様にご登壇いただき、松栄堂・薫習館にて開催致しました。
本回は、ご講演と聞香体験とお呈茶にて約3時間のプログラムとして実施され、20名の方がご参加くださいました。
「五感のバランスの再構築ー香りがうつす日本の感性ー」と題された畑様のご講演では、四季折々の草花に恵まれた日本において、大陸から渡来した香料がどのように受け入れられ、文化を醸成してきたのか、人と香との関係を、丁寧に紐解いていただきました。
そして、お香席では本プログラムのために畑様が厳選されご由緒ある香木5種を、畑様のご解説のもと、参加者の皆様には「香」とじっくり静かに向き合う時間をお過ごしいただきました。
またお呈茶席では、数々の貴重なお茶道具とともに組香のお道具一式も展示・解説いただきました。
本プログラムは、デジタル技術によって様々な事柄を容易に他者と共有できる現代への問いとして、共有と共感の次元を転換する試みでもあります。
「言葉にならない」ほど感覚的なこと、けれども人の創造性に深く根ざし、文化を次世代に繋ぐために大切なことを皆様と共に考えていきたいと願っています。
次回は福與 伸二 氏(サントリー株式会社 チーフブレンダー)をお招きし、2025年2月22日に開催いたします。
ご関心お寄せいただけましたら幸いです。
Photo by Mitsuru Wakabayashi
【千總文化研究所が開発を進める次世代育成プログラムとは】
千總文化研究所は、2021年より次世代育成のための教育プログラムの開発を、教育工学の専門家の指導のもと進めて参りました。2022年には、染織技術、色や模様など着物に関わる事柄を学校で学ぶ科目と結びつけ、学問分野を横断した学際的な学びを提供する課外プログラム「きもの科学部」を京都市教育委員会の協力のもの設計・実施いたしました。
次世代を担う子どもたちには、学問と社会と文化のつながりや自然界と人間界の関係性から、未来を考える力を身につけてほしいと考えています。
今回の収益により、中学生・高校生のための課外プログラム「きもの科学部」を実施するのほか、国内外の教育機関・専門家と連携した異文化交流や教育教材開発への展開を進めます。着物以外の分野への応用も視野に、文化芸術を題材とした次世代の創造力や思考力育成プログラムの社会実装を目指して参ります。
関連ページはこちら