図書紹介2:団扇本 *会員限定*

図書紹介第1回「千總と近世文化 」に続き、今回は団扇本(うちわぼん)のご紹介をいたします。残暑の厳しい折、お手元の団扇で扇ぎながら、近代の団扇デザインに触れてみるのはいかがでしょうか。

 

千總の団扇本

株式会社千總では多数の図書資料を所蔵していることは前回ご紹介したとおりですが、その中でもまとまった一群を形成しているのがこの団扇本コレクションです。蒸し暑い日本の夏を過ごす上で欠かせない団扇ですが、団扇本はそんな団扇のデザインをまとめたスクラップ帳を指します。

 

(Fig.1)『東京榛原製団扇見本』

 

団扇の形をした絵といえば室町時代の水墨画家・雪舟が描いた「団扇形倣古図」が著名ですが、団扇本に集められた団扇絵はずっと時代が下り、幕末から明治時代頃にかけて制作されたものが中心です。団扇本を開くと、実際にうちわとして使われた竹骨の跡が残る絵紙と、団扇形に切り抜く前の状態との二種類の団扇絵が見られます。絵の内容はさまざまで、江戸時代の浮世絵の雰囲気を色濃く受け継ぐものから、商品・商店の広告、画家による絵画作品、彩色写真と、非常に幅広いのが特徴です。

それでは、千總に遺る17冊の団扇本から、団扇絵を数点ピックアップして見てみましょう。

 

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