活動報告 一覧

「きもの科学部」第4回活動報告

2024年「きもの科学部」第4回を開催しました。今回のテーマは「着物に描かれているものは?ー植物編ー」です。講師は、植物学者で滋賀大学名誉教授の木島温夫先生をお招きしました。  着物には古くから、写実的にあるいは抽象的に様々な植物が描かれてきました。その多くに、植物の生態や姿形の特徴になぞらえて長寿や子孫繁栄などおめでたい意味が込められています。では、その植物たちはいつどこから日本にやってきて、どのような特徴を持っていて、人はどのように植物と共に生きてきたのか、知っているようで知らない植物の世界を人文科学と自然科学の視点から探究しました。前半は、植物がもたらした文化に着目し…

「きもの科学部」第3回活動報告

2024年「きもの科学部」第3回を開催しました。今回は、当研究所が教育プログラム開発の共同研究を進めている金沢大学から、吉武希実さん(金沢大学融合学域先導学類2年)が参加し、レビュー記事を作成してくれました。  ーーーーーー今回のワークショップのテーマは「五感を使って植物を観察しよう」でした。中学1年生から高校3年生までの7名が参加し、京都府立植物園を舞台に、五感を駆使して植物観察を行い、自然の魅力を体感しました。    前半は植物園ガイドの立花さんに15,000平方メートルもの広大な園内の一部を案内していただきました。植物の特徴や生活への応用…

“友禅軸”の保存修理が始まりました

「千總の友禅」が始まったのは幕末と言われています。明治時代以降その製造は本格化。合成染料や型友禅染(手捺染)といった、材料や技術の革新を重ねて販路が拡大され、やがて友禅製品は現代に至る千總の主力商品となりました。1893(明治26)年に、12代当主・西村總左衛門が緑綬褒章を授与された際の文辞には、「夙に意を家業に励まし世に千総(ママ)友禅の名称を馳せ販売益広まり(略)」とあり、当時から「千總友禅」と認識されていたことがわかります。 こうした千總友禅の発展の軌跡を示すのが、友禅見本裂の資料群、通称「友禅軸」です。友禅軸とは、1873(明治6)年以降に千總で製作された友禅見本裂を1~4枚をまとめて…

11月16日(土)「五感から知る言葉にならない日本の美」第1回 開催のご報告

千總文化研究所は、次世代育成支援を目的として、日本の文化芸術を大人が学ぶ体験型プログラムを、2024年11月からスタートしました。第一線で活躍する表現者・技術者をお招きし、五感をテーマとしたご講演と感性や感覚に立ち返って文化芸術を深く知る体験をご提供するプログラムです。本プログラムの収益は、当研究所が企画・開発を進める次世代育成プログラムの運営に充てられます。  第1回は、香老舗の株式会社松栄堂 代表取締役社長の畑正高様にご登壇いただき、松栄堂・薫習館にて開催致しました。本回は、ご講演と聞香体験とお呈茶にて約3時間のプログラムとして実施され、20名の方がご参加くださいました…

「きもの科学部」第1回、第2回活動報告

2024年「きもの科学部」第1回、第2回を10月に開催しました。 まずは第1回、テーマは「色の素って、なに?」です。中学1年生から高校3年生まで9名が集まり、「色」について多角的に学びました。講師は、一関工業高等専門学校から小林淳哉教授をお招きしました。 前半の講義では、・なぜ色が見えるのだろう?~リンゴは赤い、海は青い~・色って何からできているんだろう?~「染める」と「塗る」~・色がもつメッセージ~色の表現、生活の中の色~上記の内容で、身の回りにある自然界の色、人工的な色、がどのように成り立っているのか、を考えました。 後半のワークショップでは、ペーパークロマト…

東本願寺における法主衣体および法服に関する研究

 嵯峨本願寺は京都・嵯峨に位置する寺院で、東本願寺法主で旧華族・大谷伯爵家の蔵品を今に伝えています。なかでも染織品は近世後期以降の大谷家歴代が着用された多数の法衣装束からなり、これまで明らかにされることのなかった東本願寺における法主衣体および法服*1の実態を探るに欠かせない資料です。 当研究所では2024年4月より嵯峨本願寺に所蔵される染織品の調査を行っています。株式会社千總ホールディングスの前身である法衣商・千切屋惣左衛門が、近世後期から近代にかけて大谷家の御用を行ったことが分かっています*2が、実際の製品や制作規模など不明な点が多く残されています。今回の調査において、千切屋惣左衛…

「きもの科学部」をもっと面白くするには?

「多世代間共創」をテーマに、株式会社Unpackedが主催するプログラム「Corp Touch. 」(於:アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都)に参加しました。中高生と法人が課題解決策を「共創」することで、社会人と若者の双方向の理解を促すことをねらいとするプログラムです。 当研究所の他には、プログラムを共催するマクセル株式会社、産経新聞大阪本社が参画され、それぞれの課題に対して参加者の中高生が4~5名ずつグループに分かれ、活動しました。プログラムは、法人から解決したい課題を提示し、中高生から課題の現状に関してインタビュー、解決策のディスカッションを経て発表するまで、およそ3時間の中で…

〈大津唐崎図〉の本格解体修理の完了

千總とも縁の深い画家・岸竹堂による「大津唐崎図」。その本格解体修理が2022年より実施され2024年に完了しました。当研究所は、修理監理として、株式会社千總(現 株式会社千總ホールディングス)に事業の運営と指導助言の協力を行いました。 大津唐崎図とは〈大津唐崎図〉(八曲一双、絹本著色)は、右隻に雪暮の大津の町並み、左隻に三上山に臨む唐崎の松という、琵琶湖の景勝地をあらわした作品です。1875(明治8)年に制作され、翌年のフィラデルフィア万国博覧会(アメリカ合衆国)に、千總当主・西村惣右衛門(12代西村總左衛門)の名前で出品されました。千總にとっても、竹堂にとっても、これが初めての万国…

五感から知る言葉にならない日本の美

日本の文化芸術を大人が学ぶワークショップ&講演会を、2024年秋から全5回シリーズで開催いたします。第一線で活躍する表現者・技術者とともに日本の美を五感からたどり、人の感性に立ち返った文化芸術の伝承を展開します。本プログラムの収益は、当研究所が企画・開発を進める次世代育成プログラムの運営に充てられます。 【プログラムの背景と趣旨】日本には、世界に誇るべきさまざまな文化芸術があり、そこには数えきれないほどの卓越した技術が凝縮されています。日本のものづくりにみる息を呑むような繊細な美や技術が、どのように伝承されてきたものか、誰もがその物語を知りたいと願っているのではないでしょうか。一方で…

中高生向け文化プログラム「きもの科学部」を開催いたします

 千總文化研究所では、2021年度より染織技術と染織文化を題材とした教育プログラムの開発に取り組んでいます。  着物に用いられる伝統的染織技術には、デザイン構想から完成まで数十もの工程があり、その多くが手仕事による分業で行われています。多様な技術とその背景にある日本の文化は、農学、化学、人文学をはじめとするさまざまな学問分野を内包するだけでなく、より美しいもの、品質の高いものをつくりだすために研ぎ澄まされた職人の創造力と探求心が凝縮されています。   一方、昨今の学校教育の現場では、STEAM教育をはじめ学際的な学びがクリエイティブな人材を育成するものとして注目されています…
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