概要Overview

This collection includes yūzen hanging scrolls, hanging wrapping cloths, and around 130 kosode kimonos and other garments. Although the origin of the collection is uncertain, these objects were not produced by Nishimura Sōzaemon, but rather collected as part of the research on the kimono production process. A diverse collection, it includes objects made with different decorative techniques (such as embroidery, dyeing or painting) in several periods (such as kosode kimonos from the Kanbun and Genroku periods) and showing a variety of pattens.

所蔵品の紹介

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蓮山に松竹梅飛鶴小袖裂
小裂1枚 / 黒綸子地、絞り、刺繍、金駒縫い / 江戸時代初期(17世紀初頭 / 64.5×31.0 (cm)

疋田絞りを連ねて連山を表現し、その合間の所々に松や竹、鶴や蓑亀などの吉祥文様を散りばめた小裂。

[備考]
平成25年度に、小袖裂の材料分析調査と保存環境整備が、女子美術大学により行われた。
岡田宣世、加藤結理子、大﨑綾子、青谷徳子「株式会社千總所蔵小袖裂の保存に関わる調査」文化財保存修復学会第36回大会、明治大学アカデミーコモン、ポスター発表、2014年6月8日

波に取方菊文様小袖裂
小裂1枚 / 絞り、刺繍、金駒縫い / 江戸時代前期(17世紀前半) / 47.2×30.5 (cm)

色とりどりの菊が、刺繍、絞り、金駒繍で表され、その周囲を丹念に括られた鹿の子絞りが埋める。さらに右上に「丸に違い鷹羽紋」文様、その左下に三つ巴があしらわれている。

[備考]
平成25年度に、小袖裂の材料分析調査と保存環境整備が、女子美術大学により行われた。
岡田宣世、加藤結理子、大﨑綾子、青谷徳子「株式会社千總所蔵小袖裂の保存に関わる調査」文化財保存修復学会第36回大会、明治大学アカデミーコモン、ポスター発表、2014年6月8日

籠に萩と笹文様小袖
装束1領 / 濃萌葱縮緬地、描絵、白揚げ、摺疋田、刺繍、金駒縫 / 江戸時代中期(18世紀初頭) / 132.6×60.7 (cm)

萩の折枝を刺した背負い籠に笹が添えられた、いわば秋の山苞文様の小袖である。鮮やかな濃萌黄色に、白揚げに摺疋田と部分的な刺繍を施して文様があらわされており、全体的に流れのあるのびやかな印象を与える。このような加飾技法は江戸時代の宝暦年間(1751-63年)以降の特色である。また文様が後身だけで完成することや、帯下の部分を気にせず文様が配置されていることなども、同時代の特徴と言える。ただし、仕立て替えがされており、袖口や裾ふきの姿などは当初の形とは異なると思われる。

琴に枝垂れ柳桜文様小袖
装束1領 / 白綸子地、刺繍、金駒縫 / 江戸時代中期(18世紀後半) / 147.0×60.0 (cm)

梅枝垂れ桜花と琴との競演が華やかな小袖。琴糸の上には、かくれ笠や宝袋、日本的な宝尽しや橘といった吉祥文様を配している。主要な文様を片側に配する衣装構成を「寛文文様」と呼び、その小袖を「寛文小袖」と呼ぶ。これは、寛文6~7(1666~1667)年頃に刊行された『御ひいなかた』の影響によるとされる。しかし、本作は、そのような寛文文様の決まりと比較すると文様構成に若干の緩みが感じられるため、旺盛な元禄文様に移行する時期のものと推測される。

甕垂れ文様小袖
装束1領 / 白綸子地、描絵、絞、疋田友禅染 / 江戸時代中期(18世紀後半) / 146.0×63.5 (cm)

右肩の甕から、大胆に流下する水をあらわした小袖。周囲を舞う菊と流水の文様が華やかさを演出している。描絵の部分が桃山時代の辻が花染めの影響を受けているが、他方で不整列かつ細かい粒の匹田絞りは、その後の時代の寛文小袖によく見られるものである。

[備考]
本作品は2017年に女子美術大学染織文化資源研究所により修復された。

宝袋亀甲文様夜着
装束1領 / 藍平絹地、友禅染、白揚げ、描絵 / 江戸時代中期(18世紀後半) / 166.3×75.8 (cm)

右肩付近に宝袋、後ろ見頃に色とりどりの亀甲文様と松葉をあらわした夜着。宝袋にも橘や竹があしらわれており、一見落ち着いた雰囲気の夜着ながら、吉祥文様が至る所に配されている。文様は、主に白揚げに暈し友禅や摺り匹田、描き絵を施して仕上げられている。夜着とは、就寝時に用いる掛布団であり、全体に渡って綿が厚く入っているのが一般的である。

梅樹散し文様小袖
装束1領 / 紅綸子地、刺繍、金駒縫 / 江戸後期(18世紀半ば-19世紀初頭) / 150.0×61.0 (cm)

卍繋ぎ、菊、石榴をあしらった地文の綸子に、刺繍と金駒縫いで仕上げられた梅樹文様が散りばめられている気品ある小袖である。線描法で表された梅樹が印象的である。背中心などには、橘枝丸に類似する意匠の五つ紋が刺繍されている。

立涌花菱四季草花文様小袖
装束1領 / 白綸子地、摺疋田、刺繍、金駒繍 / 江戸時代後期(18世紀末) / 170.5×62.2 (cm)

梅や桜、折枝の藤、紅葉、牡丹、そして立涌紋様を散らした、優美な意匠形式の小袖。草花はたっぷりとした刺繍で仕上げられ、立涌や花菱そして一部の葉は金駒縫いと摺り匹田であらわされている。模様の配置は公家小袖を彷彿とさせる。

近江八景文様打掛
須賀蘭林斎筆 / 装束1領 / 白綸子地、描絵 / 江戸時代後期(19世紀初頭) / 164.5×62.0 (cm)

大ぶりの橘と熨斗文の綸子地に、霞たなびく近江八景が墨画淡彩で描かれている。全面に入った臙脂綿の影響により生地全体がほのかに赤らみ、表面が柔らかな光を帯びる。裏地の全体には、15首以上の和歌の墨書が記されている。近江八景とは琵琶湖周辺の景勝地を中国の洞庭湖の瀟湘八景になぞらえたもの。本作では、「瀬田の夕照」を表す瀬田橋を進む武家行列、「三井の晩鐘」を表す三井寺の位置に工夫がある。絵の作者は、上前にある印影から、大岡春卜(1680-1763年)の門弟、須賀蘭林斎であると推測される。

[備考]
[款]「蘭林斎」(朱文方印)「常政印」(白文方印)

幔幕紅葉文様小袖
装束1領 / 紫縮緬地、白揚げ、描絵、刺繍、金駒繍 / 江戸時代後期(19世紀初頭) / 145.3×60.0 (cm)

幔幕に舞楽の火焔太鼓と見事な紅葉という、雅やかな光景が小袖に映しだされている。これは『源氏物語』の「紅葉の賀」、すなわち光源氏が桐壺帝の前で紅葉の盛り頃に、青海波を舞う場面が暗示されている。糊防染による白揚がりに、紅、深緑、萌黄の平繍刺繍で表された艶やかな紅葉と、金駒繍による幹の表現が対照的で、観る者を飽きさせない。紋は因州蝶、因幡国鳥取藩池田家の紋で、腰高の文様から、主家からの拝領の小袖と思われる。

春秋草花文様小袖
装束1領 / 萌葱縮緬地、藍描絵、白揚げ、刺繍、金駒縫 / 江戸時代後期(19世紀初頭) / 164.0×60.0 (cm)

芦の水辺に牡丹と菊が、遠景には松と桜が咲き誇り、その合間に御殿や車が覗いている。流水と菊からは能楽の「菊慈童」が、岩と牡丹からは謡曲の「石橋」が連想される。風景の中に、能楽や和歌、物語といった文芸を暗示するモチーフを隠すように配されたものは御所解文様と呼ばれ、地位と教養を示すものとして、特に武家女性に好まれた。ただし身分によって文様の仕様に決まりがあり、本作のように着物全体に及ぶものは「総文様」と呼ばれ高位の女性にのみ着用が許された。

流水秋草虫篭文様帷子
装束1領 / 黄麻地、描絵、友禅染、白揚げ / 江戸時代後期(19世紀初頭) / 128.2×55.5 (cm)

虫の飛び交う流水のほとりに虫籠、菊、桔梗があしらわれた帷子。背中心などには、二重丸に桔梗の家紋が染め抜かれている。『源氏物語』の「野分」が本作の主題であり、右前の団扇には源氏香の「夕霧」の紋様が記される。「野分」で秋好中宮を慰問した夕霧が目にしたあろう、虫籠を持つ女房達の姿が目に浮かぶようである。帷子は生糸または麻で作られた単衣のきもので、夏に着用されたものである。

芒に蝶文様打掛
装束1領 / 白綸子地、刺繍 / 江戸時代後期(19世紀初頭) / 149.5×58.5 (cm)

右肩や裾にススキの円弧の線が走り、その周辺に色とりどりの蝶が舞う様子が表されている。蝶は、家紋などで用いられる揚羽蝶を思わせる。光沢のある白綸子地に刺繍のみで加飾された、気品ある打掛。刺繍は紫・萌葱・黄・金茶・浅葱に金・銀糸と通例よりも色数が多い。当初の仕立てのままに現存する貴重な作品である。

松に島原褄文様小袖
装束1領 / 藍地縮緬地、友禅染、描絵 / 江戸時代末期(19世紀半ば) / 155.5×58.0 (cm)

青地に描かれた繊細な松葉が目に爽やかな小袖。両前を松皮取りとし、内には松樹を菱なりにおさめる。松葉を糸目糊で丹念にあらわし、幹は白上げと墨で仕上げられている。伊達紋は細やかな友禅染であらわされ、各紋には衝立と合わせて雛人形に因んだ器物が染められており、それぞれ背中―琴、左―行器、右―擬宝珠活花、左胸―貝桶、右―杜若花熨斗である。本作のように、着物の衿先、衽、前褄の部分に主要な模様をあしらった着物を、島原太夫が始めたことに由来して、島原褄と呼ぶ。

謡曲文様振袖(小裁)
装束1領 / 染分壁縮緬地、友禅染、描絵、刺繍、曙染め / 江戸時代後期(19世紀末) / 121.2×54.5(cm)

背縫いのない一つ身仕立ての子ども用の振袖。宮参り等の祝着として用いられたと思われる。能の演目にまつわる小道具がちりばめられ、文様の読み解きを楽しめる一品。身頃の部分の謡曲は、菊慈童、猩々、羽衣、熊野、冬木、高砂、弱法師、鉢木であり、袖の部分は邯鄲、石橋である。八掛には、鞍馬天狗を想起させる天狗団扇が添えられ、表裏に凝った文様が配置されている。各文様は糸目糊友禅に上描絵や金糸駒繍で表現されている。さらに地の染色に曙染という染暈しの技法を用いており、袖裾・褄・裾にかけて濃鼠色地に白暈しで染め上げられている。

流水桜文様琉球衣装
装束1領 / 鼠木綿地、型染 / 19世紀 / 88.0×62.0(cm)

落ち着いた色合いの菱繋ぎ地に、一定の間隔で留数・桜・梅の模様が、色とりどりに染め上げられている。衿が伝統的な形とは異なる「棒衿」であることから、明治時代以降に仕立て直されたものと推察できる。類例の反物が、北京故宮博物院に所蔵されている。記録によると、当コレクションには大正11(1922)年9月に加わった。

波雲龍紋支那官服
装束1領 / 藍紋綴織地、刺繍、金駒縫、染 / 江戸時代後期(19世紀末)

綴織の中国の官服である。5爪の龍9匹が天を駆け、雲間には、幸福が天に溢れる意味を持つ、紅色の蝙蝠が飛翔している。所々に、法螺、法輪、宝瓶、金魚など、仏教の伝説に基づく八宝が牡丹と共に表される。裾部分の大海原の波間から突き出た山は、国家統一を意味する。綴織を主体としながらも、八宝や牡丹など一部に暈し染があることで、全体に独特のリズムを与えている。なお、明治27(1894)年11月の京都美術協会第3部陳列会で西村は参考品として本作と思われる官服を出品している。

ろうけつ文様襦袢
装束1領 / 黒一越縮緬地、染 / 昭和時代初期(20世紀初頭) / 149.0×65.2 (cm)

岩肌を彷彿とさせる複雑な模様の襦袢。全体は、黒を主体にして染め上げられている。褄、肩山、袖裾にひかれた縞の線が、全体の雰囲気を引き締めている。蝋を用いて防染を施すろうけつ染は明治期の日本において復興され、洋風化志向の風潮とともに流行し、様々な技法が生み出された。蝋の種類や塗布の厚みを変えることによって染色の濃度差をつくり、複雑な点描や亀裂のような表現ができる。木炭で擦って描かれたかのよう複雑な模様が斬新な襦袢。

四季山景文様振袖
装束1領 / 白茶綸子地、染 / 江戸時代中期 / 47.5×50.5 (cm)

蘭菊卍繋ぎの地紋の綸子に、四季の草花や風景を染め付けた振袖。落ち着いた灰色の地色に、水色の水辺を取り囲む多種多様な植物が表されている。松、竹、雪化粧した梅や山々に、色とりどりの紅葉や、群生するタンポポなど、四季を彩る多彩な植物が、友禅染を主体に上品な色合いで仕上げられている。女子美術大学との共同調査を通して、本作にプルシャンブル―が用いられている可能性のあることが明らかとなった。

楓に流水文様袱紗
袱紗1枚 / 納戸繻子地、刺繍、金駒縫 / 昭和時代初期(20世紀初頭) / 149.0×65.2 (cm)

流水に紅葉を散らし、紅葉の名所・竜田川をあらわした掛袱紗。紅葉を表す刺繍糸の色が萌葱から黄、紅へと緩やかに変化しており、徐々に深まる秋が表現されている。また流水は金駒縫いで丹念に仕上げられている。幹は、「こより」を糸の内部にいれて立体感を出す「肉入り」手法と、色糸暈しが用いられている。

友禅染軸 雁に芦
伝宮崎友禅 / 掛軸1幅 / 平絹地、友禅染 / 江戸時代後期(19世紀初頭) / 139.0×35.0 (cm)

水辺に2羽の雁が憩い、そこへもう1羽の雁が飛来してくる様子をあらわした、友禅染軸。細やかな表現が絵絹に染めれているために、鑑賞環境によっては絵画との判別が難しい。また、風袋、一文字、中廻しなどの全ての表装も、一連の裂地に友禅染で仕上げられている。こうした絵画風の染掛軸は、江戸時代中期から後期に登場し、特に加賀では、藩が特産品として製作を奨励したことを受けて、同様の作品が数多く産出されたといわれている。

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