教育普及

「五感から知る言葉にならない日本の美」第2回開催報告

千總文化研究所は、次世代育成支援を目的として、日本の文化芸術を大人が学ぶ体験型プログラムを、2024年11月からスタートしました。第一線で活躍する表現者・技術者をお招きし、五感をテーマとしたご講演と感性や感覚に立ち返って文化芸術を深く知る体験をご提供するプログラムです。本プログラムの収益は、当研究所が企画・開発を進める次世代育成プログラムの運営に充てられます。  第2回は、サントリー株式会社チーフブレンダーの福與伸二様にご登壇いただき、サントリー山崎蒸溜所にて開催いたしました。本回は、福與様のご解説による山崎蒸溜所見学とご講演、ウイスキーのテイスティングとブレンディング体験…

「きもの科学部」第6回活動報告

2024年「きもの科学部」第6回を開催しました。今回のテーマは「デザイナーって何をつくる人?」講師は、株式会社千總で染織品のデザイナー・ディレクターをされている今井淳裕さんをお招きしました。前半の講義では、まず着物を作るときのステップを解説いただきました。着物のコンセプトやテーマを考えること、アイディアをイメージすることやどのような技術を用いてイメージを形にするか、そして着物を作るには様々な工程がありそれらが分業で成り立っていて、チームワークが大切であることなどをお話しいただきました。 さらに、「描画力」「構成力」「知識」「発想力」といったデザイナーに必要なスキルに触れた上で、実際に…

「きもの科学部」第5回活動報告

2024年「きもの科学部」第5回を開催しました。今回のテーマは「着物に描かれているものは?ー文学編ー」講師は、日本古典文学がご専門で大阪工業大学准教授の横山恵理先生をお招きしました。着物には古来さまざまな模様が描かれてきましたが、文学にまつわるものも少なくありません。風景の中に物語の一場面を再現したものや、漢詩や和歌などをそのまま文字で表したのもの、あるいはそうした文芸を暗示する動植物を表したものなどがあります。 今回は、日本古典文学の『枕草子』を軸に日本の自然観を学び、美しい自然からインスピレーションを得た和歌の世界を探求しました。前半のワークショップでは、江戸時代の小袖の観察をし…

「きもの科学部」第4回活動報告

2024年「きもの科学部」第4回を開催しました。今回のテーマは「着物に描かれているものは?ー植物編ー」です。講師は、植物学者で滋賀大学名誉教授の木島温夫先生をお招きしました。  着物には古くから、写実的にあるいは抽象的に様々な植物が描かれてきました。その多くに、植物の生態や姿形の特徴になぞらえて長寿や子孫繁栄などおめでたい意味が込められています。では、その植物たちはいつどこから日本にやってきて、どのような特徴を持っていて、人はどのように植物と共に生きてきたのか、知っているようで知らない植物の世界を人文科学と自然科学の視点から探究しました。前半は、植物がもたらした文化に着目し…

「きもの科学部」第3回活動報告

2024年「きもの科学部」第3回を開催しました。今回は、当研究所が教育プログラム開発の共同研究を進めている金沢大学から、吉武希実さん(金沢大学融合学域先導学類2年)が参加し、レビュー記事を作成してくれました。  ーーーーーー今回のワークショップのテーマは「五感を使って植物を観察しよう」でした。中学1年生から高校3年生までの7名が参加し、京都府立植物園を舞台に、五感を駆使して植物観察を行い、自然の魅力を体感しました。    前半は植物園ガイドの立花さんに15,000平方メートルもの広大な園内の一部を案内していただきました。植物の特徴や生活への応用…

11月16日(土)「五感から知る言葉にならない日本の美」第1回 開催のご報告

千總文化研究所は、次世代育成支援を目的として、日本の文化芸術を大人が学ぶ体験型プログラムを、2024年11月からスタートしました。第一線で活躍する表現者・技術者をお招きし、五感をテーマとしたご講演と感性や感覚に立ち返って文化芸術を深く知る体験をご提供するプログラムです。本プログラムの収益は、当研究所が企画・開発を進める次世代育成プログラムの運営に充てられます。  第1回は、香老舗の株式会社松栄堂 代表取締役社長の畑正高様にご登壇いただき、松栄堂・薫習館にて開催致しました。本回は、ご講演と聞香体験とお呈茶にて約3時間のプログラムとして実施され、20名の方がご参加くださいました…

「きもの科学部」第1回、第2回活動報告

2024年「きもの科学部」第1回、第2回を10月に開催しました。 まずは第1回、テーマは「色の素って、なに?」です。中学1年生から高校3年生まで9名が集まり、「色」について多角的に学びました。講師は、一関工業高等専門学校から小林淳哉教授をお招きしました。 前半の講義では、・なぜ色が見えるのだろう?~リンゴは赤い、海は青い~・色って何からできているんだろう?~「染める」と「塗る」~・色がもつメッセージ~色の表現、生活の中の色~上記の内容で、身の回りにある自然界の色、人工的な色、がどのように成り立っているのか、を考えました。 後半のワークショップでは、ペーパークロマト…

「きもの科学部」をもっと面白くするには?

「多世代間共創」をテーマに、株式会社Unpackedが主催するプログラム「Corp Touch. 」(於:アート&テクノロジー・ヴィレッジ京都)に参加しました。中高生と法人が課題解決策を「共創」することで、社会人と若者の双方向の理解を促すことをねらいとするプログラムです。 当研究所の他には、プログラムを共催するマクセル株式会社、産経新聞大阪本社が参画され、それぞれの課題に対して参加者の中高生が4~5名ずつグループに分かれ、活動しました。プログラムは、法人から解決したい課題を提示し、中高生から課題の現状に関してインタビュー、解決策のディスカッションを経て発表するまで、およそ3時間の中で…

五感から知る言葉にならない日本の美

日本の文化芸術を大人が学ぶワークショップ&講演会を、2024年秋から全5回シリーズで開催いたします。第一線で活躍する表現者・技術者とともに日本の美を五感からたどり、人の感性に立ち返った文化芸術の伝承を展開します。本プログラムの収益は、当研究所が企画・開発を進める次世代育成プログラムの運営に充てられます。 【プログラムの背景と趣旨】日本には、世界に誇るべきさまざまな文化芸術があり、そこには数えきれないほどの卓越した技術が凝縮されています。日本のものづくりにみる息を呑むような繊細な美や技術が、どのように伝承されてきたものか、誰もがその物語を知りたいと願っているのではないでしょうか。一方で…

中高生向け文化プログラム「きもの科学部」を開催いたします

 千總文化研究所では、2021年度より染織技術と染織文化を題材とした教育プログラムの開発に取り組んでいます。  着物に用いられる伝統的染織技術には、デザイン構想から完成まで数十もの工程があり、その多くが手仕事による分業で行われています。多様な技術とその背景にある日本の文化は、農学、化学、人文学をはじめとするさまざまな学問分野を内包するだけでなく、より美しいもの、品質の高いものをつくりだすために研ぎ澄まされた職人の創造力と探求心が凝縮されています。   一方、昨今の学校教育の現場では、STEAM教育をはじめ学際的な学びがクリエイティブな人材を育成するものとして注目されています…