型友禅の技術調査_職人のインタビュー動画公開

千總文化研究所では、染織技法における材料や道具、工程などによって生み出される表現の独自性に着目した調査研究を行っています。

2021年には手描き友禅、手捺染、インクジェットプリントという3つの技法の比較を行いました。いずれも細やかな模様と多色の染め分けを得意とする技法で、材料や道具、工程の違い、それらによって生み出される表現の違いを、同じ模様の再現製作によって確認しました。3つの技術の特性を示した染色見本と記録動画は教育現場で活用され、国内外の若年層の伝統的染織技術の学習に役立てられています。

 

2023年からは、型友禅に焦点を当てた調査を行っています。型友禅は、手描き友禅とともに主に着物に用いられてきた染色技法の一つで、1979年に伝統的工芸品に指定され、現代の京都市の伝統産業の一翼を担っています。型紙の歴史は古く発祥の過程は明らかにさていませんが、江戸時代より盛んになり、明治時代に合成染料が輸入されてから現代の型友禅の技術へと発達しました。

現代の型友禅には、和紙を小刀で彫刻した型紙と焼付技術によるシルクスクリーン型(写真型)が用いられています。そして、染料を刷毛で摺り込む「摺り友禅」と、糊に染料を混ぜた色糊をヘラで塗布する「写し友禅」の技術があります。

 

写真左:摺り友禅、写真右:写し友禅

 

「摺り友禅」のなかでも、墨を用いた「カチン」と呼ばれる線描は、彫刻刀を用いて型紙を彫刻し、輪郭線を複数枚の型紙に分けて摺り重ねることで表情豊かなものとなります。また、丸刷毛を用いた色のグラデーションは「刷毛ぼかし」と呼ばれ、手描き友禅や手捺染には見られない柔らかな表現が特徴です。

 

画像左:「カチン」と呼ばれる鱗や鰭の線描、画像右:「刷毛ぼかし」の技法による水中の鯉の影の表現

 

上記の特徴を道具、材料、工程とともに明らかにするため、明治25年に制作された型友禅の裂地を見本として再現制作を行ないました。制作では、型紙彫刻を西村武志氏(友禅彫刻店)に、友禅を北本益弘氏(有限会社北本染芸)にご協力いただきました。

(調査の詳細は、千總文化研究所が発行する『年報6号』に掲載されています。)

 

 

見本とした型友禅裂〈鯉模様〉明治25(1982)年(千總ホールディングス蔵)

 

今回は、職人へのインタビュー動画を公開します。

再現の見本となった作品と先人の技をどのように捉え、どのような思いでものづくりを行なっているのか等について語っていただきました。

【インタビュー編】

動画撮影・編集:共田尚樹(SPOTime)  企画・監修:一般社団法人千總文化研究所

 

【制作工程編】

再現制作の概要をまとめています。合わせてご覧いただけますと幸いです。

動画撮影・編集:共田尚樹(SPOTime)  企画・監修:一般社団法人千總文化研究所

 

人工知能が台頭する時代に、人は何をつくるべきなのか、人の創造性とは何か、職人の熟練の技によってしかできないことは何か、これからも皆様と共に考えて参りたいと思います。

 

 

文責:加藤結理子