KCJS(京都アメリカ大学コンソーシアム)プログラム「世界に通じる京の職人」

同志社大学内にあるKCJF(京都アメリカ大学コンソーシアム、運営:コロンビア大学)の授業の一環として、千總の歴史と染織技術について講義しました。

「世界に通じる京の職人」がテーマの本授業には、日本語並びに日本文化等を専攻するアメリカからの留学生10名が参加されています。

 

講義の前半は、千總が470余年にわたって、法衣装束、室内装飾品、着物など商いの主軸を少しずつ変えながらも染織品をつくり続けてきた歴史と、現在の技術·工程について動画と写真を交えてご紹介しました。

千總が明治時代に手がけた海外向けの室内装飾品や服飾品は、現代でも世界の美術館や個人コレクターに所蔵されており、現代の千總は世界的に有名なメゾンとの協業も行っています。

 

 

「世界に通じる」技とは何か、を言葉で簡単に表現することはできませんが、美しいものを追求する人間の創造性を肌で感じてもらえればと思い、講義後半は、実物の着物や製作に用いられる材料や道具を観察したり触れたりしてもらいながら、染織技術について解説しました。

 

 

一方で、千總文化研究所では4年前から技術の比較研究を実施しています。

2021年は手描き友禅、手捺染(型染め)、インクジェットプリントの3つの技術、2023年は摺り友禅とインクジェットの2つの技術を用いて、同じ模様の染色品を製作し、それぞれの工程、道具、材料の違いが、どのように表現の違いとなって表れるのかを明らかにしました。

それらの研究で製作した作品を観察·比較してもらながら、それぞれの技術の特性を紹介し、技術に見られる人の創造性とは何か?を問いかけました。

 

日本の歴史の中で、さまざまな染織技術が生み出されてきました。従来にない新しい表現、効率的な生産が求められ、その変遷と社会的需要の変化の中で失われた技術もあります。

大量生産、大量商品の時代が終焉を迎え、一方で人工知能が急速に発達する昨今、本当の意味でこれからも日本の工芸技術が発展するために求められることは何か、次代の担い手と一緒に考えていきたいと思います。

文責:加藤結理子