「五感から知る言葉にならない日本の美」第5回

5回 「五感で楽しむ五人囃子-音を観て時空の旅へ-」

 大倉 源次郎 氏(能囃子小鼓方大倉流16世宗家)

 

峰に吹く風音や波の水音といった自然の美しい情景、あるいはこの世ならぬものの存在を感じさせる張り詰めた空気感-。

能舞台に幽玄の時空を創り出す囃子は、世界でも類例を見ない複雑で抽象的な音楽を発達させてきました。その緊張に満ちたリズムは、西洋音楽にみられる五線譜の楽譜や指揮者によってではなく、奏者がお互いの息を計り合い、拮抗し合いながら紡がれます。そして、囃子を構成する小鼓、大鼓、太鼓と笛の四種の楽器には、絶対音階といった概念はなく、奏者が吹き込む息や打音の強弱などによってその瞬間瞬間において響く、絶対的な音の美しさが大切にされてきました。

ご登壇いただく大倉源次郎氏は、囃子方の中でも小鼓方の大倉流16世宗家を務めておられます。小鼓は、2枚の馬皮と桜材をくり抜いた胴を調緒と呼ばれる麻紐で組まれた楽器です。調緒を緩めたり締めたりすることで、豊かな音色が打ち分けられます。胴には、蒲公英、紅葉、菊、桜といった季節の草花や、鳥や鳳凰など様々な美しい蒔絵が施された優美な佇まいです。

プログラムでは、大倉氏のご講演とともに囃子の演奏をご鑑賞いただきます。そして小鼓の演奏もご体験いただきます。「間の芸術」とも言われる能には、音がしない緊迫した時間と、「間」を響かせるための音の存在があります。目には見えない音、けれど目の前に立ち現れるような能の哲学的な音の世界、囃子が生み出す時間と空間を五感で感じていただきます。

 

 

 

5回 「五感で楽しむ五人囃子-音を観て時空の旅へ-」

 大倉 源次郎 氏(能囃子小鼓方大倉流16世宗家)

会場:大江能楽堂(京都市中京区押小路通柳馬場東入橘町646)

日時:2025年10月11日(土)16:0018:00 (受付: 15:30

主催:一般社団法人千總文化研究所

 

[お申し込み]

定員:先着30名 参加費:30,000

お申し込み期間:6月2日(月)~10月4日(土)*定員になり次第締め切ります。

お申し込み方法:こちらよりお手続きください。*外部サイトに移動します。

 

[タイムテーブル]

15:30~受付

16:00~16:45     講演

16:45~17:30      能楽囃子鑑賞

17:30~18:00  小鼓演奏体験

 

 

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◾️本プログラムの収益は、日本文化を次世代に伝えるために千總文化研究所が企画開発を進める教育事業に充てられます。

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[登壇者プロフィール]

大倉源次郎 

(能楽小鼓方大倉流16世宗家、重要無形文化財保持者)

1957年、大阪生まれ。父15世宗家・大倉長十郎に師事。1964年独鼓「鮎之段」にて初舞台。1981年甲南大学卒業。1985年能楽小鼓方大倉流16世宗家を継承(同時に大鼓方大倉流宗家預かり)。新作能、復曲能に数多く参加。能楽DVD「大和秦曲抄」「五体風体」を制作。1991年大阪市咲くやこの花賞、2015年観世寿夫記念法政大学能楽賞を受賞。2017年に重要無形文化財保持者各個認定(人間国宝)。公益社団法人能楽協会理事。一般社団法人東京能楽囃子科協議会理事。一般社団法人日本能楽会会員。著書に、『大倉源次郎の能楽談義』(淡交社、2017年)、『能から紐解く日本史』(扶桑社、2021年)。

 

 

 

 

【千總文化研究所が開発を進める次世代の創造性育成プログラムとは】

千總文化研究所は、2021年より次世代の創造性育成のための教育プログラムの開発を、教育工学の専門家や京都市教育委員会の協力のもとに進めて参りました。

2022年には、染織技術、色や模様などきものに関わる事柄を学校で学ぶ科目と結びつけ、学問分野を横断した学際的な学びを提供するプログラム「きもの科学部」設計・実施しました。

次世代を担う子どもたちには、学問と社会と文化のつながりや自然界と人間界の関係性から、未来を考える力を身につけてほしいと考えています。

中学生・高校生のための課外プログラムとして「きもの科学部」を継続的に開催するほか、国内外の教育機関・専門家と連携した異文化交流や教育教材開発への展開を進めます。

これらのプロジェクトは、今回の「五感から知る言葉にならない日本の美」の収益により運営されます。きもの以外の分野への応用も視野に、文化芸術を題材とする創造性育成プログラムの方法論の確立を目指して参ります。

 

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中高生のための課外プログラム「きもの科学部」2024年の詳細はこちら。 

 

【お問い合わせ】

一般社団法人千總文化研究所

TEL 075-211-2531(平日10:00~17:00)

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