「五感から知る言葉にならない日本の美」第4回
第4回 「自然から紡ぐ佇まい-見て触れて知る竹の姿-」
黒田 正玄 氏(竹細工・柄杓師 14代 )
竹は、古来日本人にとって身近な植物でした。その種類は600種以上とも言われ、籠や笊、箸といった生活用具から、垣根や門などの建材として、あるいは尺八や笙といった楽器に至るまで、人々の生活のいたるところに用いられてきました。一方で、自然信仰心から霊的なものの依代とされ、日本の各地に竹にまつわる祭事が伝わります。また、しなやかに真っ直ぐ伸びる姿に吉祥的な意味を重ねて、美術工芸品のモチーフとしても親しまれてきました。
この身近な竹を茶道具に取り入れたのは、自然の美を重んじ「侘び茶」を大成させた千利休でした。ご登壇いただく黒田正玄氏は、湯や水を汲む「柄杓」をはじめとする茶道具を代々手がけてこれらた職家。表千家、裏千家、武者小路千家の三千家に茶道具を収める千家十職の一つを務めておられます。
柄杓、茶杓、花入、茶入、香合、水指など、竹を材料とする茶道具は様々ですが、いずれも姿形は趣は深く、他の道具にも添い、手に馴染み使い勝手に優れることが求められます。そのために、道具を創造する技に加え、竹林から質の良い竹を見極め、本来の強さと美しさを引き出すための仕込みの技術が欠かせません。見て、触れて、竹と向き合うものづくりがあります。
黒田正玄氏の講演とともに、氏の作品を用いた茶席をご体験いただき、身近でありながら奥深い竹の世界を探訪します。また、講演前には会場の柊家旅館の館内をご案内いたします。床の間や建具に至る繊細で洗練されたつくり、日本の工芸技術が随所に光る日本美の空間をお楽しみいただけます。
第4回「五感から知る言葉にならない日本の美」
黒田正玄 氏(竹細工・柄杓師 14代)
会場:柊 家(京都市中京区麩屋町姉小路上ル中白山町277)
日時:2025年7月26日(土)13:30~15:30 (受付: 13:00)
主催:一般社団法人千總文化研究所
[お申し込み]
定員:先着30名 参加費:30,000円
お申し込み期間:6月2日(月)10:00~7月19日(土)*定員になり次第締め切ります。
お申し込み方法:こちらよりお手続きください。*外部サイトに移動します。
[タイムテーブル]
13:00~受付
13:30~14:15 柊家館内見学
14:15~15:00 講演・お茶席体験
15:00~15:30 作品鑑賞
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◾️シリーズ「五感から知る言葉にならない日本の美」についてはこちら
◾️本プログラムの収益は、日本文化を次世代に伝えるために千總文化研究所が企画開発を進める教育事業に充てられます。
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[登壇者プロフィール]
黒田正玄(竹細工・柄杓師 14代)
1967年、京都生まれ。生家の黒田家は400年以上続く竹細工の家として、千家
十職の竹細工・柄杓師を務める。同志社女子大学学芸学部英文学科卒業後、
航空貨物会社勤務を経て家業に従事。2006年より千家に出仕。2014年に「14
代黒田正玄」を襲名。2015年から2016年にかけて、「襲名記念 十四代 黒田正
玄展」を全国6カ所で開催。2016年、「茶の湯の継承千家十職の軌跡」展(日
本橋三越本店)に出品。
【千總文化研究所が開発を進める次世代の創造性育成プログラムとは】
千總文化研究所は、2021年より次世代の創造性育成のための教育プログラムの開発を、教育工学の専門家や京都市教育委員会の協力のもとに進めて参りました。
2022年には、染織技術、色や模様などきものに関わる事柄を学校で学ぶ科目と結びつけ、学問分野を横断した学際的な学びを提供するプログラム「きもの科学部」設計・実施しました。
次世代を担う子どもたちには、学問と社会と文化のつながりや自然界と人間界の関係性から、未来を考える力を身につけてほしいと考えています。
中学生・高校生のための課外プログラムとして「きもの科学部」を継続的に開催するほか、国内外の教育機関・専門家と連携した異文化交流や教育教材開発への展開を進めます。
これらのプロジェクトは、今回の「五感から知る言葉にならない日本の美」の収益により運営されます。きもの以外の分野への応用も視野に、文化芸術を題材とする創造性育成プログラムの方法論の確立を目指して参ります。
次世代育成プログラム開発ストーリーはこちら
中高生のための課外プログラム「きもの科学部」2024年の詳細はこちら。
【お問い合わせ】
一般社団法人千總文化研究所
TEL 075-211-2531(平日10:00~17:00)
E-MAIL info@icac.or.jp