五感から知る言葉にならない日本の美 第1回

1回「五感のバランスの再構築香りがうつす日本の感性

  正高 氏(株式会社 松栄堂  代表取締役社長)  

 

 

 香りと人との関係は、どのようなものでしょうか。

 香りは、空間に緩やかに広がり、人はその存在を目で確かめることはできず、同じ空間で同じ香りを知覚し続けることもできません。しかし香りは、抽象的な余韻を残し、人の記憶や感情の深くに働きかける存在でもあります。

 古来、香りを焚く文化は、洋の東西を問わず広く用いられ、日本には仏教と共に伝来しました。以来、国内では香りの素となる天然素材を収穫できないにも関わらず、種々の香料を配合した「薫物」、香木そのものを焚く「聞香」といった香りの文化が日本独自に発達しました。密教や禅宗の教えに影響を受けた作法、陰陽学に導かれた香りの分類、種々の景物に着想を得た香りの名付けといった香りの文化を形づくる体系は、香りという移ろいやすい存在と向き合うための手立てなのかもしれません。

では、香りの絶対的な価値とは何でしょうか-。皆様と共に考えてみたいと思います。

 ワークショップでは、掌の聞香炉に心を傾け、一片の香木のかすかな香りを心ゆくまで鑑賞します。この繊細な所作を「聞香(もんこう)」香を聞く、という美しい言葉で表現します。聞香に用いられる香木は、天然の木質香料です。香木にはそれぞれに個性があり、一つとして同じ香りはありません。そして、香りの生成の秘密は未だ正確に解き明かされておらず、人工的に作り出すこともできないとされています。この度、席主をつとめる畑 正高 氏自身が、本プログラムのために厳選した香木の香りをご案内いたします。

 

 

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第1回「五感のバランスの再構築-香りがうつす日本の感性-」

 畑 正高 氏(株式会社 松栄堂  代表取締役社長)  

会場:株式会社 松栄堂(京都市中京区烏丸通二条上る東側)

日時: 2024年11月16日(土)13:30~16:15 (受付: 13:00)

定員:先着30名  参加費:30,000円

募集期間:2024年11月10日(日)〆切

お申し込み:千總文化研究所公式ウェブサイトイベントページよりお申し込みください。

 

 -タイムテーブル-

13:00~    受付

13:30~14:20    講演

14:30~16:15       ワークショップ お香席での聞香体験とお茶席でのお呈茶

 

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▪️本プログラムの収益は、千總文化研究所が企画・開発を進める次世代創造性育成のプログラムの運営に充てられます。

▪️シリーズ「五感から知る言葉にならない日本の美」についてはこちら

▪️畑正高氏によるお香の文化史解説と次世代へのメッセージ動画はこちら

 

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【登壇者プロフィール】

 

正高(株式会社 松栄堂 代表取締役社長)

1954年、京都生まれ。同志社大学卒業後、渡英。1977年、松栄堂入社。1998年、代表取締役社長就任。社業に加え、香文化普及発展のため国内外での講演・文化活動に取り組む。2022年、文化庁長官表彰受賞。2024年、旭日双光章受章。アメリカにおいては、20年にわたる文化交流活動に対し、2004年ボストン日本協会よりセーヤー賞を受賞。著書に『香三才』(東京書籍、2004年)、『香清話』(淡交社、2011年)、『香千秋』(松栄堂、2023年)などがある

 

 

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【千總文化研究所が開発を進める次世代の創造性育成プログラムとは】

千總文化研究所は、2021年より次世代の創造性育成のための教育プログラムの開発を、教育工学の専門家や京都市教育委員会の協力のもとに進めて参りました。

2022年には、染織技術、色や模様などきものに関わる事柄を学校で学ぶ科目と結びつけ、学問分野を横断した学際的な学びを提供するプログラム「きもの科学部」設計・実施しました。

次世代を担う子どもたちには、学問と社会と文化のつながりや自然界と人間界の関係性から、未来を考える力を身につけてほしいと考えています。

中学生・高校生のための課外プログラムとして「きもの科学部」を継続的に開催するほか、国内外の教育機関・専門家と連携した異文化交流や教育教材開発への展開を進めます。

これらのプロジェクトは、今回の「五感から知る言葉にならない日本の美」の収益により運営されます。きもの以外の分野への応用も視野に、文化芸術を題材とする創造性育成プログラムの方法論の確立を目指して参ります。

 

次世代育成プログラム開発ストーリーはこちら

中高生のための課外プログラム「きもの科学部」2024年の詳細はこちら。 

 

【お問い合わせ】

一般社団法人千總文化研究所

TEL 075-211-2531(平日10:00~17:00)

E-MAIL info@icac.or.jp