【オンライン記録動画】特別鑑賞会・講演会「千總・西村家の町家図面を読み解く ―近世京町家の造りと暮らし―」

冬の寒さも和らぎ、まち歩きにぴったりな季節が今年も巡ってきました。

京都で気の向くままに街中を歩くと、思いがけず出逢うのが町家です。

 

町家とは生活と商売が共存する空間であり、人々の暮らしの知恵と工夫がつまっています。その中でも「鰻の寝床」と称されるほどに奥行きが長く、果てしない空間の広がりを感じさせる京都の町家・京町家は、人々が築いた美意識の広がる小宇宙と言えるかもしれません。

現在はビルである千總の社屋も、戦前までは三条通りに軒を連ねるひとつの京町家でした。その近世の姿を伝える絵図面の複写や建物の仕様書などが現存しています。このたびの講演会では、そうした資料をとりあげ、講師に日本およびアジアの民家や伝統建築等に関する歴史がご専門の大場修先生をお迎えし、読み解きを行いました。

当日は、文字資料や多くの画像を交えて、京都内外の町家と比較することにより、絵図面にあらわされた千總のお店のイメージを膨らませていきました。町家に凝らされた人々の工夫や風習についても、情熱的に語る大場先生の講義は、明日からのまち歩きをより一層楽しくさせることになるかもしれません。

当日の記録動画を、以下よりご視聴いただけます。ご関心をお寄せいただけましたら幸いです。

 

 

 

【開催概要】

日時:2022年2月16日(木) 14:00~15:20

講師:大場修

実施形式:株式会社千總5階ホールおよびオンライン(zoomウェビナー)

 

【シリーズ「京都のまちの中の三条室町」】

創業以来460余年、三条室町で暖簾を掲げてきた千總には、この土地や建物、行事など町に関係する資料がのこされています。本シリーズでは、そうした町の歴史の一端を映し出す資料を通して、千總と地域のいとなみへの理解を深めます。

 

【講師】 大場 修

立命館大学 衣笠総合研究機構 教授/京都府立大学 名誉教授

工学博士。『近世近代町家建築史論』(中央公論美術出版、2004年)で日本建築学会賞(論文)を受賞。『「京町家カルテ」が解く 京都人が知らない京町家の世界』(淡交社、2019年)で日本建築学会著作賞を受賞。近年の著作に『京都 学び舎の建築史』(京都新聞出版センター、 2019年)、編著に『占領下日本の地方都市-接収された住宅・建築と都市空間-』(思文閣出版、 2021年)、編著『京丹後市のまちなみ・建築』(京丹後市、2017年)、共著に『くらしの景観 日本と中国の集落』(臨川書店、2022年)、『日本の建築文化事典』(丸善出版株式会社、2020年)などがある。