【活動紹介】職人技を体験「色づくりワークショップ」

函館工業高等専門学校の下郡啓夫教授と共同開発を行なっている教育プログラムでは、伝統的染織技術の背景にある、人の創造性・探究性に焦点を当てた2つのワークショップを設計しました。

1月17日は、そのうちの1つ〈色づくりワークショップ〉を実施しました。

伝統的染織技術の一つである手描き友禅の着物制作において、「配色」と呼ばれる工程があります。着物のデザインに用いる色を決める作業で、製作担当者が色見本を貼った「配色伝票」を指示書として職人に渡します。職人はそれらの色を1色ずつ染料を混ぜ合わせて一から作成します。

着物によっては、使用する色数は100色を超えます。

そこには、色を見極める観察力と多くの経験が必要とされます。

(授業スライドより)

 

ワークショップでは、職人が使用しているものと同じ染料と道具を用いて、事前に手描友禅の職人に作っていただいた色見本3色と同じ色を作ることにチャレンジしました。

 

(授業スライドより)

 

制限時間は1時間。2~3人のチームで取り組みました。

ホーローのボールにお湯を入れ、染料を少しずつたしながら、白生地に刷毛で試し染めをして、色見本と比較します。

 

 

使用する染料の色と、配合のおよその割合は知らされているのですが、なかなか見本と同じ色にならなかったようです。

 

 

実際に色を作ってみることで、技術の背景にある繊細な作業、色を観察し作り出すことの創造性を体感することがねらいです。

 

学生からは、「今後、もう一度同じ色を用意しろと言われてもできないくらいに少しずつ調整したので、再現できる職人さんの技術はすごいと思いました。」「実際に作成した色がおもってた色とは違ったり、見本の色がどの色でできているのか考えるのが難しかった。」「職人の方は、ある色を見るだけで何の染料をどれだけ混ぜればその色をつくれるかが感覚的にわかるのでしょうか。」といった感想や疑問が寄せられました。

 

学生たちが作った色は、実際のモノづくりで使用されいる「配色伝票」に貼って、職人へ提出します。1月31日には、学生たちが作った色について職人からの講評と学生の疑問へのフィードバックが行われます。

 

本事業は文化庁令和3年度の文化庁補助金「地域と共働した博物館創造活動支援事業」(主催:京都歴史文化施設クラスター実行委員会)、JSPS科研費20K02899の助成もと実施されました。