【活動紹介】知識構成型ジグソー法から、日本の伝統技術のイノベーションを考える

函館工業高等専門学校の下郡啓夫教授と共同開発を行なっている教育プログラムでは、技術革新と社会的、文化的背景の関係性を深く洞察するため、東京大学CoREFにより開発された授業法である「知識構成型 ジグソー法」を取り入れています。

 

第8講と第9講では、千總の創業から現代までものづくりの変遷をたどりました。僧侶のための衣装である法衣装束や寺院を荘厳する染織品から、欧米の生活様式に合わせた室内装飾品、着物、ポップカルチャーとのコラボレーションなど、千總の長い歴史と文化は、染織品製作におけるイノベーション の歴史でもあります。第10講では、函館工業高等専門学校の小林淳哉教授より染色の化学的メカニズム、染色以外の技術による色の表現、伝統的な染色技術や工芸品の復元の課題について講義いただきました。

 

3回にわたるレクチャーを受けた上で、いよいよ第11講は、伝統文化の伝承または発展について「知識構成型 ジグソー法」を使ったグループ ワークに取り組みました。 

具体的には、学生はa)室町時代から明治時代の日本の染織品の課題、b)昭和時代から現代までの日本の染織品の課題、c)染織技法の課題、の3つのグループ に分かれて課題を検討します。その後にa)~c)の課題を考えた学生 が一人ずついる新しいグループで、課題の解決策を検討しました。

 

 

グループワークでは、GoogleのJamboardを活用しました。

学生たちは、ホワイトボードに付箋を貼るような感覚で、パソコンの画面上でどんどん意見を出し合ってメンバーと一緒に意見をまとめていきます。

 

伝統技術が未来へつながっていくために、どのようなことが必要なのか。

人材の確保、労働条件、材料のコスト、市場の確保、普及活動など、伝統技術を取り巻く社会的な状況の様々な点をしっかり捉えたグループワークになりました。

 

本事業は文化庁令和3年度の文化庁補助金「地域と共働した博物館創造活動支援事業」(主催:京都歴史文化施設クラスター実行委員会)、JSPS科研費20K02899の助成もと実施されました。